台湾映画『星空』とジミー・リャオの絵本
なにかのきっかけで最近、絵本作家の幾米原作の『星空』という映画を見てみたい!と思ったんだけど、どうして見てみたいと思ったのか、不思議なことにどうしても思い出せない。
まぁ理由が思い出せなくても、映画を見るのは自由なので、見ました。
幾米は台湾の絵本作家で、日本での知名度は知らないけど、台湾、中国など中華圏ではかなり有名で、作品もいくつか映画化されている。日本ではジミー・リャオと紹介されてるみたいだけど、どうしても中国語の名前のほうになじみがあるので、以下「幾米 」(発音はジミーというより、チィミィ)と書く。
2011年と13年も前の作品だけど、日本でも台湾映画祭などで公開されてたらしい。
私が幾米を初めて知ったのは、上海に住んでいる時だった。たまたま本屋さんで見つけたんだと思う。
当時、子どもたちに時々、中国語の絵本を読み聞かせていたので、幾米の絵本もたぶんそれ用に買った気がする。でもネイティブなら小学校低学年でも十分理解できると思うが、中国語に親しむ程度のうちの子たちには文章が少し難しすぎたので、読み聞かせには使わなかった。
幾米の絵本は絵もお話も一見可愛らしくて幻想的だけど、読むと少し胸が苦しくなるような、寂しい気持ちが心に広がるような気がする。それは嫌な感じではなくて、優しい気持ちにもなる寂しさとでもいうのか…。
絵もよく見ると少し不気味さもあるというか、そこも好みで、好きだなぁと思っていた(が、そんなことも最近まで忘れていた)。
映画もその世界観がよく表されていて、とてもよかった。
この『星空』の映画と絵本両方に「最寂寞的星空(最も寂しい星空)」という言葉が出てくる。
絵本では「但我永遠會記得那年夏天最燦爛、最寂寞的星空(でも私はあの夏の最も輝いていた、最も寂しい星空をずっと忘れない)」
映画では「你還記得嗎?那年夏天,最燦爛,最寂寞的星空(あなたはまだ覚えている?あの夏最も輝いていた、最も寂しい星空を)」
という感じで少し言ってることが違うけど、このセリフは幾米の作品の雰囲気をよく表してる気がする。私はどちらかと言えば映画のセリフのほうが好きだ。
といって、私が読んだことがあるのは、この星空も含めて3冊にすぎない。しかも『星空』に関しては、YouTubeに五月天の主題歌付きの動画が上がっていたのでそれを見ただけ。
脱線するけど、私ってどうもちょっと齧っただけで、深くは知ってないことでも、全部分かったみたいな気になって、人にも知ったかぶりをしてしまいがちだな、気を付けたい。
違いと言えば、映画は絵本よりディテールが具体的に描かれていて、映画としてはしかたないことなんだろうけど、幾米の不思議な世界観を少し損なっている気がした。
特に最後に主人公の女の子が大人になった、絵本では描かれていないその後の話みたいな部分は、個人の好みとしては余分な気がする。あるほうが救いは感じるけど、急に現実に戻されたような気分にもなった。
幾米の作品では他にも『地下鐵』(地下鉄)というのが、たしか香港で実写映画化されたと思う。
公開当時もう上海に住んでいて、現地で宣伝などを見たのに、残念なことに私は見ていない…幾米が好きになったとか言いながら、当時は自分の好きをあんまり追及しなかったんだなと思う。それが積み重なって、去年ついに自分のことが何もわからなくなったのかもね?
なんて、だんだん映画とは関係ないことを考え始めたので、そろそろ終わりにします。
今は心から『地下鐵』(絵本の方)読んでみたいなぁと思ってるよ!自分の気持ちが分かるって嬉しい。
台北101の手前にある幾米の絵本の世界観を再現したバス