終わらせることが大切なんだ
刺繍を習っている。
習っていると言っても日を決めて行っているわけではないので、大体できたところで先生に連絡を取って、また教えてもらいに行くというスタイルだ。間隔が開きすぎてて、まだ3回くらいしか行けてないけど。
2回目から、赤い布にサテンステッチで牡丹の花を刺繍している。
初心者のサテンステッチは粗がとても目立つ。その前に習ったアウトラインステッチやフレンチノット、牡丹とは別で習ったチェーンステッチ、そして私が勝手にやったバックステッチに比べても、きれいに刺すのがはるかに難しい。
先生がお手本で刺していた中華風の牡丹の花はあんなに素敵だったのに、私のは糸が緩んでしまったり、重なってしまっていたり、隙間が開いていたり…形がどんどんおかしくなっていって全然素敵にならない。
思ってるのと違いすぎてだんだん嫌気がさしてきた。
もういっそこれは止めにして、次の刺繍を習おうかなぁと思って行った3回目。
たぶん私が何回もこの部分もこの部分も全然上手くできてないということを言ったからか、先生が雑談の中で「でも終わらせることって大切ですよ」と言った。
その時、あー本当にその通りだと思った。
途中で止めて次に行ったら、きっと上達しない。上達したかったら、どんなに気に入らなくても終わらせなきゃだめだ。
この理屈を上手くは説明できないんだけど。
下手でもいいから、やり始めたものを最後まで作り上げて完成品を増やすことで、経験として積み上がっていくものがあるということだと思う。
気に入らなくなったらそこで止めて、新しい作品に移っていたら、初心者の私なんてすぐ未完成品の山になるだろう。
それでは一見たくさん刺繍しているように見えても、実は経験値になってない……そういうことなんじゃないかなぁ。
これって刺繍に限らず、どんな事でも、途中で失敗したり、気に入らなくなったり、上手く行ってないってわかってても、とにかく1回1回、最後までやってみるって大切なんじゃないかなと思う。
私は今まで、わりと中途半端で投げ出すことを繰り返して、それで何かわかったような気になっていたかもしれない。
「ちゃんと終わらせること」を肝に銘じて、がんばってみたいなと思った。
刺繍は趣味で、これからプロになりたいとか思ってるわけではないから、そこまで必死にはならなくていいんだけど、それでもいつか自分の思うような刺繍作品を作れるようになりたいから、楽しいだけじゃない部分もちゃんと乗り越えて、あ、できる!わかった!そういうことだったんだって思える日が来るといいな。
どんなことでも、できなかったことができるようになったり、わからなかったことがわかるようになった時って、すごく大きな喜びを感じるから。